iOS 12がリリースされ、すでにアップデートして使っている人も多くいることでしょう。iPhone XSシリーズに続いてiPhone XRも発売され、これからiOS 12に触れるユーザーもますます増えていきます。 iOS 12は一見するとiOS 11と大きな違いがありませんが、見逃せない新機能がいくつも追加されています。そこで今回は、iOS 12でこれだけは押さえておきたいポイントをまとめて紹介します。 iPhone XSに買い替えるべき人は? iPhone 8や7など旧モデルと比較してiPhone XS徹底レビュー

1. パフォーマンスが大幅に改善

最初に体験したいのが、パフォーマンスアップです。従来と比べて、アプリの起動は最大で40%、キーボードの表示速度も最大50%、さらにスワイプによるカメラの起動は最大で70%速くなったといわれています。 実際にこの通り体感できるかは別としても、iOS 12の恩恵はiPhone 5sやiPad Airといった5年前に出たモデルにも及んでいます。これらの旧世代デバイスにiOS 12をインストールし、iOS 11から操作性がどうなったかを実際に比較検証する動画なども多数公開されています。 iPhone 5sでiOS 11.4.1とiOS 12を比較した動画 基本的にiOS 12ではiOS 11に比べて各種操作の速度で劣ることはないようで、古いモデルだからといって「遅くなるかもしれない」とアップデートをためらう必要がないのがうれしいところです。

2. グループ化された通知センター

iOS 12では、通知がグループ化されるようになりました。これは、同じアプリからの通知をまとめることで、通知センターの内容をすっきり整理して表示してくれるというものです。

通知がまとまって表示されるのでロック画面がすっきり。タップして開閉できる メールやアプリの通知が何通も届いても、まとめられた通知には「その他○件の通知」と表示されており、タップすれば未読の通知を一気に開けるなど、なかなか有能です。 通知のグループ化はアプリごとにオン・オフできるので、「前のほうがよかった」という場合も安心です。また不要な通知はその場で表示されないように設定することもできますし、通知センターには残してもサウンドやバナーを表示しない「目立たない形で配信」を選ぶこともできます。

スワイプして設定画面を呼び出せば、カスタマイズも即座に行える

3. カスタマイズ可能な「ミー文字」を楽しむ

iPhone Xで登場した「アニ文字」に、iOS 12ではカスタマイズ可能な「ミー文字」が加わりました。

ミー文字メーカーを使えば、オリジナルのアニ文字を作成可能 iPhoneの「アニ文字」「ミー文字」を徹底解説──超基本の使い方からLINEやインスタ、Androidでの活用術まで 肌の色やヘアスタイル、輪郭などを選んでいくだけで、自分の分身となるオリジナルのアニ文字を作ることができます。もみあげやひげ、眼鏡や帽子などのアクセサリも豊富で、自分とよく似たアニ文字を作って写真やビデオで撮影ができます。 また、撮影時に使うことのできるテキストエフェクトやフィルタ、図形なども一新しています。写真やビデオを撮影して送信するときに使うことができます。

一度は試したいミー文字を使ったセルフィー

アニ文字も進化

アニ文字自体も進化しています。ティラノサウルス、ゴースト、コアラ、タイガーの新しいキャラクターが追加されたほか、舌やウインクを検出できるようになりました。カメラの前でぜひ試してみましょう。これまで以上に表現が豊かになっていることに気がつくはずです。

キャラクターの種類が増えて、ウインクや舌の動きも検出できるようになった

4. グループFaceTimeをサポート

これまで1対1の会話のみサポートしていたFaceTimeですが、一度に最大32人のFaceTime通話ができるようになります。こちらはiOS 12公開時に間に合わず、後日アップデートで提供される予定です。

FaceTimeビデオでは、前述のミー文字や数々のエフェクトを使うこともできます。発言している人を自動で中央に表示することや、見たい人を選んで表示するフォーカス表示をサポートし、ビデオ会議やウェブセミナーなど、活用の場が広がりそうです。

5. 賢くなった「写真」アプリの検索機能

「写真」アプリでは、写真を見つけやすくなったのが最大の特徴です。「検索」という専用タブが用意され、iPhone内の写真をまとめて検索できるようになっています。 「検索」タブでは、写真が人物(ピープル)や撮影場所、被写体(カテゴリ)別に自動で整理されています。アイコンをタップすると、サブのキーワード候補が自動で表示され、写真を絞り込むことが可能です。キーワード入力が必要だったこれまでに比べると、楽に写真を取り出せるようになった印象です。

iPhoneが自動で整理した写真をタップして取り出せる

6.「スクリーンタイム」で脱スマホ依存

最近はよく「スマホ依存」という言葉を耳にしますが、スマートフォンを日常的に使えば使うほど、その影響は大きくなると危惧されています。スクリーンタイムは、iPhoneを常に手放せない人にとって、スマートフォンとの付き合い方を見直すきっかけになるかもしれません。 スクリーンタイムは、「設定」アプリの「スクリーンタイム」で見ることができます。スクリーンタイムには、iPhoneのアプリやネットで過ごした時間がすべて記録されています。普段どれだけiPhoneの画面を見ているか、その時間の多さに驚くことでしょう。

「設定」から[スクリーンタイム]を開く。iPhoneをどのように使っているかが丸裸に 使い過ぎへの対策として、iPhoneやアプリの使用時間を制限する機能も持っています。ゲームや動画は1日1時間という使い方のルール作りや、スマホの画面を一切見ない時間を設けるのに役立ちます。 その際、連絡に必須な電話やメールなどを例外として許可することも可能です。最低限の機能を残したまま、スマホ断ちをサポートします。使い過ぎを自覚している人は、試してはどうでしょうか。

カテゴリやアプリごとに使用時間を制限することが可能 子どもがiPhoneを使い過ぎるという心配にも対処できます。ファミリー共有をしている家族の端末について、使用状況を確認することや使用時間の制限が可能です。

家族の端末でスクリーンタイムを設定できる

7.「Siriショートカット」でSiriを進化させる

Siriショートカットとは、アプリやiPhoneの機能を呼び出して指定した順番で実行する機能です。Siriという名前が付いていることからわかるように、Siriを通じて機能を呼び出します。新しい操作をSiriに学習させることで、Siriを有能な秘書へと育てられる機能と考えるとわかりやすいでしょう。

Siriからの提案ですぐに使えるショートカットが表示される Siriショートカットは「設定」アプリから[Siriと検索]→[すべてのショートカット]で表示できます。インストールされているアプリやユーザーの使用状況から、あらかじめいくつかのショートカットが用意されています。気に入ったものがあれば、起動用の音声を登録(録音)して、すぐに使うことができます。

「アプリオ」と話しかけてappllio.comを開く、といった使い方ができる ショートカットを自作するための「ショートカット」アプリも、App Storeで配信されています。少しコツが要りますが、プログラムを作成するように様々なコマンドを組み合わせてショートカットを作ります。ギャラリーには大量のテンプレートが用意されており、一度覗いておくと参考になるはずです。

ショートカットアプリのギャラリーには参考になるショートカットがたくさんある

炊飯時に使えるショートカットを作成。異なる時間に設定したタイマーを連続で実行できる

作成したショートカットを「Siriに追加」すれば、Siriからショートカットを実行できるようになる

8. AR機能の強化でiPhoneが巻き尺に

iOS 12にアップデートすると、「計測」アプリがインストールされます。これは、iPhoneのカメラを利用して、目の前にあるものの長さを測定する拡張現実(AR)機能です。 最初にキャリブレーションをしたあと、画面の「+」をタップして任意の区間の距離(長さ)を測ることができます。計測はセンチメートル単位で精度もそれなりですが、およその長さを測るのに重宝します。画面右下にあるシャッターを押せば、写真を残すことも可能です。 【iPhone】AR機能で長さ・面積を測れる「計測」アプリの使い方と気になる精度 メジャー(巻尺)・定規はもう要らない?

1メートルの長さのテーブルを計測しているところ。だいたい合っているのがわかる

9. 進化した「おやすみモード」

おやすみモードは、通知を非表示にする機能です。通知を受け取りたくない夜間などに使う機能ですが、iOS 12では今いる場所から移動するまでの間や、予定が行われている間だけオンにできるよう強化されています。 たとえば会議中に通知を非表示にして、会議室を離れるタイミングでおやすみモードをオフに戻す、といった使い方に便利です。夜間のみ使っていたという人は多いと思いますが、これからは通知のオン・オフを自在に切り替えるのにお世話になりそうです。

コントロールセンターにある「おやすみモード」のアイコンを3D Touchで押し込むと、おやすみモードのメニューが表示される 新しい機能を使うには、おやすみモードのアイコンを3D Touchで押し込みます(3D Touch非対応の場合は長押し)。「1時間」「今日の夜まで」「この場所から出発するまで」といったメニューが表示されるので、通知を再開したいタイミングを選びます。 カレンダーに予定が登録されている場合は、イベントの期間中のみ「このイベントが終了するまで」が表示され、通知をイベント終了時までオフにできます。

10. さらに詳しくなった「バッテリーの使用状況」

「設定」アプリの「バッテリー」では、バッテリーの使用状況がより詳しく表示されるようになりました。 これまでは使用状況をアプリごとに確認するだけでしたが、iOS 12では時間帯ごとの使用状況がグラフで確認できます。過去24時間のバッテリー残量の推移がグラフで表示され、タップするとその時間帯に使ったアプリがわかります。どの時間帯に使用したアプリがバッテリーを大きく消費したかなどが一目瞭然です。 バッテリーがすぐになくなるという症状が起きたときや、バッテリーを節約したいときに、きっと参考になるはずです。

「設定」アプリで[バッテリー]と進むと、バッテリーの詳細がグラフ表示される